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英政府、緊急予算案を提示

オズボーン財政相が6月22日に下院で緊急予算案を提示した。5月の総選挙で退陣した労働党前政権の緊縮予算と比べても大幅な歳出削減が盛り込まれており、その実行可能性や妥当性に関する論議を招いている。
英国の財政赤字は昨年度(2009年4月-2010年3月末)、GDPの11.0%に相当する1550億ポンドに達し、今年度(2010-11)もGDP比で10.1%の1490億ポンドの赤字が見込まれるが、保守党と自由民主党の連立政権は2015-16年度には赤字幅をGDP比で1.1%の200億ポンド(240億ユーロ)にまで圧縮することを目標に掲げた。この目標を達成するために、前政権の予算と比べて、毎年の赤字削減幅を400億ポンドほど拡大する方針を明確にした。なお前政権の予算でも既に年間500億ポンドの赤字削減が見込まれていた。この400億ポンドの赤字削減のうち、8割に当たる320億ポンドは歳出の削減で、残りは増税で賄うことになる。
歳出削減では、医療や教育、防衛や開発援助など一部の項目を除いて、大部分の省庁の予算を25%削り、各種補助金や手当を減額し、年間の給与額が2万1000ポンド以上の公務員の給与を2年間凍結する。また老齢年金の受給開始年齢を65歳から66歳に引き上げる。
税制面では2011年1月4日から付加価値税の税率を17.5%から20%へと引き上げ、これによって年間130億ポンド(155億ユーロ)の税収増を確保する。また銀行税の導入も予定され、これは独仏とも協調しつつ広く国際的な適用をG20サミットで呼び掛ける。他方で法人税の税率については、毎年1ポイントずつ4年間にわたって引下げ、現行の28%から24%に修正する。
この緊急予算が前例のない規模の犠牲を国民に強いるものであることは議論の余地がないと受け止められているが、富裕層に要求される努力が相対的に軽く、不公平だとの批判が寄せられている。特に付加価値税の引き上げは低所得層を直撃する措置だと指摘されている。また若くて経験に乏しい閣僚が策定した大胆な予算案で、その勇気は認められるが、世論の反発に抗して実行できるかどうか疑わしいという懐疑的意見も強い。保守党色が非常に強い内容となっていることから、実施過程で連立が崩壊するとの見方もある。また、極端な緊縮財政は景気回復の腰を折り、失業者の増加を招くとの懸念を表明するエコノミストも多い。(2010-06-24)

弊社刊『欧州レポート』1028号より転載



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