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G20とBIS、財政健全化について対照的なスタンス

6月26-27日にカナダで開かれた主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の首脳宣言(27日)と、国際決済銀行(BIS)が28日に発表した年次報告書は共に財政健全化の必要性に言及したが、そのスタンスには大きな違いが見られる。
サミットでは「成長に配慮した財政健全化」を目指す意思表示が行われたが、これは早急な財政健全化を優先する英独仏などの欧州諸国と、緊縮財政が景気回復の腰を折ることを警戒してより段階的な財政健全化を望む米加などの双方の立場を折衷した玉虫色の内容となった。「先進国は2013年までに財政赤字を半減し、2016年までに公的債務残高の対GDP比率を安定化させるか低下させる」という一見野心的な目標が設置されたが、これは必達目標ではなく、健全化のペースは各国の選択に委ねられた。日本に至ってはデフレ対策が先決問題との立場を主張し、特例扱いとなった。
このようなアラカルトの対応を認めたサミッットとは対照的に、BISは、経済成長の回復を待った上で財政健全化に取組む態度を戒め、即座に健全化を進めることを強く勧告した。その理由として、BISは経済の回復は「緩やか」にしか進行せず、金融システムの健全化が達成されるかどうかは「未知数」であり、さらに高齢化に伴って医療・年金などの社会保障制度の支出が膨張することで公共財政の収支は今後はいっそう悪化する恐れがあることなどを指摘した。
BISの試算によると、医療・年金部門以外の公共財政について2011年から先進国が特別な対策を講じなかった場合、2040年の公的債務残高の対GDP比率は、米国で450%に近づき、フランスでは300%を超えることになるという。
BISは対策案として、(1)医療・年金部門を除くプライマリーバランスの赤字を対GDP比で毎年1ポイントずつ10年間にわたって削減する、(2)それに加えて、高齢化に伴う医療・年金の支出を抑えて現在の水準に維持する、という2つのシナリオを提示している。BISは、GDPの90%以上の公的債務残高を抱える先進国の経済成長率中央値は、公的債務残高の対GDP比がそれより低い国々の経済成長率中央値を1ポイント下回っている(経済成長率平均値で比較すると4ポイント下回っている)と指摘し、債務削減は各国の経済にとって有利な条件に繋がることを指摘し、長期的な財政赤字削減戦略の実施だけが債務の減少を可能にすると強調した。(2010-06-30)

弊社刊『欧州レポート』1029号より転載



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